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🌿 陶芸家 大貫博之 ― 造形と彩色のあいだに宿るもの

🌟笠間焼の陶芸家・大貫博之(おおぬき ひろゆき)さんは、
造形と彩色の両面において、独自の美意識を追求し続ける作家です。

2026年5月、笠間の陶炎祭で初めて大貫博之さんの作品に出会いました。
カリグラフィーを思わせるモダンなモノトーンシリーズは、
まさにクラフトデザインの見本のような端正さで、
東京造形大学でグラフィックデザインを学ばれたと伺い、深く納得したことを覚えています。
その隣に並べられた彩時器は、工芸の粋を尽くしたかのような繊細で密度の高い仕事で、
「この作家はすごい」と強く心を動かされました。

1961年、茨城県水戸市に生まれ、
東京造形大学デザイン学科(グラフィック専攻)で培った造形感覚を礎に、
1993年に茨城県窯業指導所(現・笠間陶芸大学校)を修了。
翌年、益子の坂田甚内氏に師事し、1995年に笠間市で独立しました。

デザインの素養を背景に、
「形をつくる」「線を引く」「色を置く」という行為を
一貫して自身の手で行う制作姿勢が特徴です。
轆轤やタタラ造りによる成形から、スケッチ、型紙づくり、象嵌、上絵具による彩色まで──
すべての工程を丁寧に積み重ねることで、
器に静かな密度と凛とした佇まいが生まれます。

🎨 作品の二つのライン
大貫さんは現在、笠間市の工房にて
「モノトーンシリーズ」 と 「彩時器(さいじき)」 の二つのラインを制作しています。

● モノトーンシリーズ
日常使いのテーブルウェアとして、黒と白のコントラストを生かした端正な造形が魅力。
デザイン出身ならではの構成力が、静かな美しさを生み出しています。

● 彩時器(さいじき)
四季折々の草花をモチーフにした装飾シリーズ。
花びら一枚、葉っぱ一枚の輪郭を境界にして彩色を重ねる、極めて緻密な技法が特徴です。
まるで日本画のような精緻な表現は、器でありながら絵画的な奥行きを感じさせます。

🏛 展覧会・受賞歴
国内の百貨店やギャラリーでの個展のほか、ニューヨーク、ロンドン、上海、台北など海外でのグループ展にも多数参加。
東日本伝統工芸展、日本伝統工芸展、益子陶芸展などで入選を重ねています。

また、茨城県立江戸崎総合高校、笠間市立岩間中学校、茨城福祉医療センター、水戸市役所議事堂など、公共施設への陶壁制作も多数手がけています。

作品は 茨城県陶芸美術館 に収蔵されています。

🌏 大貫博之という作家
大貫さんの作品には、「形をつくること」と「色を置くこと」が互いに響き合うような静かな緊張感があります。

造形は端正で、線は明晰。
その上に重ねられる彩色は、草花の息づかいをそっと留めるような繊細さを持っています。

日常の器でありながら、どこか“静かな絵画”のような気配を宿す──
それが大貫博之さんの作品の魅力です。